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信頼への一歩一歩

入園式を終え、いよいよようちえんが始まりました。

息子Kは毎日焚き火をして心をほぐしながら、少しずつ自信をつけて通っています。みんなの味噌汁やご飯を炊いて、「K、ありがとう。おいしい。」と言ってもらえ、本当にうれしそう。迎えに行くとKから焚き火のいい匂いがして、今日も好きなことを存分にできたんだなと思える毎日です。でも、おしっこはまだ出来ないし、おかわりも勇気が出なくてできない。まだまだ不安なこともあるようちえん。

さて、ようちえんが始まって2週間がたったころ、ランチの時に味噌汁をこぼして大泣きしたK。初めての大泣きした話を聞き、ホッとしました。どうもKは長男ということもあり、気を張って、いい子でいることが多い。不安なことも隠して、誰にも言えず、じーっとしているタイプ。味噌汁をこぼして、悲しくてびっくりして泣いて、ママー来てーと言ってもママは来ず。でもスタッフや仲間がきっと助けてくれたんだろうな。そんな体験を積み重ねて、ママはいなくても大丈夫、失敗しても大丈夫、みんなの前で泣いても大丈夫、仲間を信頼し、強くなっていくのだろう。

Kに、「ママはすぐに行けないけど、気持ちはKと一緒にいるよ。Kが悲しかったら、今K悲しいだろうなーと思っているし、Kが嬉しかったらママも嬉しい気持ち」と言ったら、「じゃ、その気持ち、中にしまっておくね」と言った。きっとKの心の中にしまってくれたと確信している。自分の気持ちをそのまま出して、ほかの人の気持ちもそのまま受け入れる。いいな〜と温かくなった。

そして数日後、ようちえんから帰宅してKのランチの片づけをしていたら、おしぼりが’使用済み’だった。ようちえんが始まって以来のこと。今日おしぼりつかったんだね?と聞いたら「うん。味噌汁こぼしたから」との答え。味噌汁こぼして、今度は泣かずに、自分のおしぼりで拭いたんだと思ったら、もうそれだけで泣けてくる。頑張っているなあ。

Kは誰かが見ているんじゃないかと不安でおしっこができない。そして着替えも同じ理由で嫌。どろんこ遊びの日は朝から水着で行ったけど、さて着替えはどうするんだろうと思っていた。迎えに行くときちんと着替えていた。

よかった~と安心するとともに、そのシャツが後ろ前反対だったからもっと嬉しくなった。スタッフは気付いていたかもしれないけど、それを直すより、苦手な着替えを皆と一緒にしたことを認めてくれたんだなあ。そういう小さなステップが、大きな信頼に繋がっていく。

雨がしとしと降る夕方、山間から蒸気があがっているのが見えた。Kに指差して教えると「あれは焚き火してるんだよ!」との答え。えー?と言った瞬間、夕暮れに森のノームたちが山のあちこちで焚き火をしている情景が浮かび、なんて素敵なんだろうと感激した。ようちえんの自然の中でKの感性はより豊かになっていく。まだまだ緊張することはあるけれど、焚き火とスタッフと自然、全てがKの新たな一歩を支えている。

年少児母 Nancy



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